ファイナンシャルプランナー(FP)2級と3級には、明確な違いがいくつかあります。既にFP3級に合格し、これから2級の受検を考えている人や、これからFP試験の受検を考えている人も本記事を読んで違いについて理解し、ぜひ学習の参考にしてもらえたらと思います。
目次
FP2級とFP3級の違い
FP2級と3級は、難易度や出題範囲などのイメージしやすい部分の違いはもちろんのこと、受検資格や料金など、細かい部分で違いがたくさんあります。それぞれ比較しながら解説していきます。
受検資格
まず、受検資格についてです。FP2級と3級は受検資格が異なります。
FP3級 | FP2級 |
---|---|
FP業務に従事している者または従事しようとしている者 | 以下のうち、1つ以上を満たす場合 ・3級FP技能検定の合格者 ・FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者 ・日本FP協会認定のAFP認定研修修了者 ・金融渉外技能審査3級(旧審査試験)の合格者 |
FP3級は、FP業務(相談業務やコンサル業務など)に従事している人はもちろんのこと、従事しようとしている者が受検資格にあります。なお、申込時に職歴や就職状況などを聞かれるわけではないため、仮にFP業務に従事する予定が無くても受検は可能です。
一方で、FP2級についてはFP3級や金融渉外技能審査3級(=FP試験の前身)に合格している人や、FP業務に2年以上の実務経験を持つ人、AFP認定研修を修了している人が対象になります。
AFP認定研修について

AFP認定研修とは、AFPと呼ばれる認定資格の要件の1つで、「基本課程」「技能士過程」「税理士課程」の3つが用意されています。その中で、FP3級を持っていない人がいきなり2級から受検する場合は基本課程を修了する必要があります。
しかし、FP業務に従事していない人が2級を受ける場合は、FP3級を取得する方法を強く推奨いたします。
その理由は、単純に料金が高いからです。FP3級の受検料と基本課程の料金を比較してみましょう。
FP3級の受検料 | 学科試験+実技試験 計8,000円 |
基本課程の料金 | 最安値22,000円~ |
参考:AFP認定研修の検索より著者が検索
基本課程は登録されているカリキュラムから1つを選択し受講することになりますが、最安で22,000円の料金がかかってしまいます。一方の3級は8,000円で済むうえ、後述する3級の難易度を考慮すると、3級を取得する方が効率的・経済的です。
たしかに、要件を満たせばいきなりFP2級から受検することが可能です。「3級を取得するのが面倒だから2級から受けたい」という人は基本課程を修了する方法も手段の1つです。
しかし、お金や取得ハードルなどを考えると、FP業務の実務経験が無い方は3級の受検・取得をおすすめします!
難易度
次に難易度です。これは何となく想像がつくかもしれませんが、3級と2級の難易度が異なります。
FP3級
線をタップすると合格率が表示されます。
FP2級
FP試験はFP協会と金財の2つの試験団体がありますが、FP3級の合格率はおよそ8割、FP2級の合格率はおよそ4割~6割で推移しています。
試験範囲
難易度と合わせて、試験範囲も異なります。FP3級では主に個人資産に関する基本的な問題を中心に出題されますが、FP2級はそれに加えて法人関係の問題が出題されるようになります。
試験科目 | FP3級 | FP2級 |
---|---|---|
ライフプランニングと資金計画 | ・FPと倫理 ・FPと関係法規 ・ライフプランニングの考え方・手法 ・社会保険 ・公的年金 ・企業年金・個人年金等 ・年金と税金 ・ライフプラン策定上の資金計画 ・ローンとカード ・ライフプランニングと資金計画の最新の動向 | ・FPと倫理 ・FPと関係法規 ・ライフプランニングの考え方・手法 ・社会保険 ・公的年金 ・企業年金・個人年金等 ・年金と税金 ・ライフプラン策定上の資金計画 ・ローンとカード ・ライフプランニングと資金計画の最新の動向 ・中小法人の資金計画 |
タックスプランニング | ・日本の税制 ・所得税の仕組み ・各種所得の内容 ・損益通算 ・所得控除 ・税額控除 ・所得税の申告と納付 ・個人住民税 ・個人事業税 ・タックスプランニングの最新の動向 | ・日本の税制 ・所得税の仕組み ・各種所得の内容 ・損益通算 ・所得控除 ・税額控除 ・所得税の申告と納付 ・個人住民税 ・個人事業税 ・タックスプランニングの最新の動向 ・法人税 ・法人住民税 ・法人事業税 ・消費税 ・会社、役員間および会社間の税務 ・決算書と法人税申告書 ・諸外国の税制度 |
リスク管理 | ・リスクマネジメント ・保険制度全般 ・生命保険 ・損害保険 ・第三分野の保険 ・リスク管理と保険 ・リスク管理の最新の動向 | ・リスクマネジメント ・保険制度全般 ・生命保険 ・損害保険 ・第三分野の保険 ・リスク管理と保険 ・リスク管理の最新の動向 |
金融資産運用 | ・マーケット環境 ・預貯金・金融類似商品等 ・投資信託 ・債券投資 ・株式投資 ・外貨建て商品 ・保険商品 ・金融派生商品 ・ポートフォリオ運用 ・金融商品と是金 ・セーフティネット ・関係法規 ・金融資産運用の最新の動向 | ・マーケット環境 ・預貯金・金融類似商品等 ・投資信託 ・債券投資 ・株式投資 ・外貨建て商品 ・保険商品 ・金融派生商品 ・ポートフォリオ運用 ・金融商品と是金 ・セーフティネット ・関係法規 ・金融資産運用の最新の動向 |
不動産 | ・不動産の見方 ・不動産の取引 ・不動産に関する法令上の規制 ・不動産の取得・保有に関する税金 ・不動産の賃貸 ・不動産の有効活用 ・不動産の証券化 ・不動産の最新の動向 | ・不動産の見方 ・不動産の取引 ・不動産に関する法令上の規制 ・不動産の取得・保有に関する税金 ・不動産の賃貸 ・不動産の有効活用 ・不動産の証券化 ・不動産の最新の動向 |
相続・事業承継 | ・贈与と法律 ・贈与と税金 ・相続と法律 ・相続と税金 ・相続財産の評価(不動産以外) ・相続財産の評価(不動産) ・不動産の相続対策 ・相続と保険の活用 ・相続・事業承継の最新の動向 | ・贈与と法律 ・贈与と税金 ・相続と法律 ・相続と税金 ・相続財産の評価(不動産以外) ・相続財産の評価(不動産) ・不動産の相続対策 ・相続と保険の活用 ・相続・事業承継の最新の動向 ・事業承継対策 ・事業と経営 |
出題形式
FP2級と3級の出題形式も異なります。3級は2択または3択の選択問題ですが、2級になると4択になるほか、金財では実技試験の一部で記述問題が出題されます。
3級 | 2級 | |
---|---|---|
学科試験 | 〇×問題、3択問題 | 4択問題 |
実技試験 | 3択問題 | 4択問題、記述式 |
試験時間
FP2級と3級の試験時間も異なり、試験時間は以下の通りです。
FP3級 | FP2級 |
---|---|
学科90分、実技60分 | 学科120分、実技90分 |
※2024年4月から、FP3級学科試験の試験時間が従来の120分から90分に短縮されました。
受検料
学科と実技を両方受検する場合、3級は合計8,000円、2級は合計11,700円が必要になります。その他、受検料のクレジット払いもしくはコンビニ払い時に所定の事務手数料が必要になります。
FP3級 | FP2級 |
---|---|
学科4,000円、実技4,000円 | 学科5,700円、実技6,000円 |
注意事項
ここまで読んでいただき、FP2級と3級に興味を持っていただければ幸いですが、受検にあたっていくつか注意点があります。
FP2級と3級は併願できない
FP2級に受検資格が付されている関係上、FP2級とFP3級の併願はできません。3級を持っていない人が2級を受ける場合は、まず3級を取得する必要があります。
また、2024年4月からFP3級がCBT方式に移行し、2025年4月から2級がCBT方式に移行し通年受検が可能になりました。しかし、合否がその場で発表されるわけではなくタイムラグがある点に留意しましょう。
【2025年度】合格発表日
試験日 | 合格発表日 |
---|---|
2025年4月1日~4月30日 | 5月19日 |
2025年5月1日~5月24日 | 6月16日 |
2025年6月1日~6月30日 | 7月15日 |
2025年7月1日~7月31日 | 8月18日 |
2025年8月1日~8月31日 | 9月16日 |
2025年9月1日~9月30日 | 10月16日 |
2025年10月1日~10月31日 | 11月18日 |
2025年11月1日~11月30日 | 12月15日 |
2025年12月1日~12月28日 | 1月19日 |
2026年1月6日~1月31日 | 2月17日 |
2026年2月1日~2月28日 | 3月16日 |
学科試験と実技試験の両方に合格しなければならない
FP試験は学科試験と実技試験に分かれており、両方合格してはじめてFP技能士の資格を取得することができます。もし学科と実技のどちらか一方しか合格できなかった場合は、一部合格として次回の試験が免除されます。
このとき、一部合格には有効期限があり、合格年度の翌々年度末までですのですぐに受検しましょう!

試験会場に電卓を持ち込むことができない
CBT方式への移行によりパソコンでの受検スタイルになりましたが、試験会場に電卓を持ち込むことができなくなりました。計算が必要な時はパソコンに内蔵されている電卓機能を使用することになりますので、あらかじめご注意ください。

まとめ
FP2級と3級は、受検資格や試験の難易度、問われる内容に大きな違いがあることがお分かりいただけたと思います。どちらを受検すべきか迷ったときは、現在の知識レベルや目的を基準に判断することが大切です。
まずは3級で基礎を固めてから2級に進むルートが一般的ですが、条件が合えばいきなり2級を目指すのも一つの選択肢です。自分に合った学習プランで、無理なくステップアップを目指していきましょう!
ただし、3月は受検できないため、実質2月末までが期限になります!