FP2級と3級の「明確な」違いとは? | 受検資格から難易度、試験内容まで徹底比較

FP2級と3級の「明確な」違いとは? 受検資格から難易度、試験内容まで徹底比較

ファイナンシャルプランナー(FP)2級と3級には、明確な違いがいくつかあります。既にFP3級に合格し、これから2級の受検を考えている人や、これからFP試験の受検を考えている人も本記事を読んで違いについて理解し、ぜひ学習の参考にしてもらえたらと思います。

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この記事の著者

FPのライト専任講師 ゆーさく

・元市役所職員
・公務員在職時にファイナンシャル・プランニング(FP)技能士を取得
・現在は、FPのライト専任講師を務めるほか、日本FP協会支部活動にも参加し、地域独自のFPの普及活動を行う。
(AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

FP2級とFP3級の違い

FP2級と3級は、難易度や出題範囲などのイメージしやすい部分の違いはもちろんのこと、受検資格や料金など、細かい部分で違いがたくさんあります。それぞれ比較しながら解説していきます。

受検資格

まず、受検資格についてです。FP2級と3級は受検資格が異なります。

FP3級FP2級
FP業務に従事している者または従事しようとしている以下のうち、1つ以上を満たす場合
・3級FP技能検定の合格者
・FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
・日本FP協会認定のAFP認定研修修了者
・金融渉外技能審査3級(旧審査試験)の合格者

参考:日本FP協会 「2級・3級FP技能検定 試験要綱」

FP3級は、FP業務(相談業務やコンサル業務など)に従事している人はもちろんのこと、従事しようとしている者が受検資格にあります。なお、申込時に職歴や就職状況などを聞かれるわけではないため、仮にFP業務に従事する予定が無くても受検は可能です。

一方で、FP2級についてはFP3級や金融渉外技能審査3級(=FP試験の前身)に合格している人や、FP業務に2年以上の実務経験を持つ人、AFP認定研修を修了している人が対象になります。

AFP認定研修について

AFP認定研修のコース一覧
出所:日本FP協会「3つのコース(基本課程・技能士課程・税理士課程)」

AFP認定研修とは、AFPと呼ばれる認定資格の要件の1つで、「基本課程」「技能士過程」「税理士課程」の3つが用意されています。その中で、FP3級を持っていない人がいきなり2級から受検する場合は基本課程を修了する必要があります。

しかし、FP業務に従事していない人が2級を受ける場合は、FP3級を取得する方法を強く推奨いたします。

その理由は、単純に料金が高いからです。FP3級の受検料と基本課程の料金を比較してみましょう。

FP3級の受検料学科試験+実技試験 計8,000円
基本課程の料金最安値22,000円~

参考:AFP認定研修の検索より著者が検索

基本課程は登録されているカリキュラムから1つを選択し受講することになりますが、最安で22,000円の料金がかかってしまいます。一方の3級は8,000円で済むうえ、後述する3級の難易度を考慮すると、3級を取得する方が効率的・経済的です。

たしかに、要件を満たせばいきなりFP2級から受検することが可能です。「3級を取得するのが面倒だから2級から受けたい」という人は基本課程を修了する方法も手段の1つです。

しかし、お金や取得ハードルなどを考えると、FP業務の実務経験が無い方は3級の受検・取得をおすすめします!

難易度

次に難易度です。これは何となく想像がつくかもしれませんが、3級と2級の難易度が異なります。

FP3級

線をタップすると合格率が表示されます。

FP2級

FP試験はFP協会と金財の2つの試験団体がありますが、FP3級の合格率はおよそ8割、FP2級の合格率はおよそ4割~6割で推移しています。

試験範囲

難易度と合わせて、試験範囲も異なります。FP3級では主に個人資産に関する基本的な問題を中心に出題されますが、FP2級はそれに加えて法人関係の問題出題されるようになります。

試験科目FP3級FP2級
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出題形式

FP2級と3級の出題形式も異なります。3級は2択または3択の選択問題ですが、2級になると4択になるほか、金財では実技試験の一部で記述問題が出題されます。

3級2級
学科試験〇×問題、3択問題4択問題
実技試験3択問題4択問題、記述式

試験時間

FP2級と3級の試験時間も異なり、試験時間は以下の通りです。

FP3級FP2級
学科90分、実技60分学科120分、実技90分

※2024年4月から、FP3級学科試験の試験時間が従来の120分から90分に短縮されました。

受検料

学科と実技を両方受検する場合、3級は合計8,000円、2級は合計11,700円が必要になります。その他、受検料のクレジット払いもしくはコンビニ払い時に所定の事務手数料が必要になります。

FP3級FP2級
学科4,000円、実技4,000円学科5,700円、実技6,000円

注意事項

ここまで読んでいただき、FP2級と3級に興味を持っていただければ幸いですが、受検にあたっていくつか注意点があります。

FP2級と3級は併願できない

FP2級に受検資格が付されている関係上、FP2級とFP3級の併願はできません。3級を持っていない人が2級を受ける場合は、まず3級を取得する必要があります。

また、2024年4月からFP3級がCBT方式に移行し、2025年4月から2級がCBT方式に移行し通年受検が可能になりました。しかし、合否がその場で発表されるわけではなくタイムラグがある点に留意しましょう。

【2025年度】合格発表日

試験日合格発表日
2025年4月1日~4月30日5月19日
2025年5月1日~5月24日6月16日
2025年6月1日~6月30日7月15日
2025年7月1日~7月31日8月18日
2025年8月1日~8月31日9月16日
2025年9月1日~9月30日10月16日
2025年10月1日~10月31日11月18日
2025年11月1日~11月30日12月15日
2025年12月1日~12月28日1月19日
2026年1月6日~1月31日2月17日
2026年2月1日~2月28日3月16日

学科試験と実技試験の両方に合格しなければならない

FP試験は学科試験と実技試験に分かれており、両方合格してはじめてFP技能士の資格を取得することができます。もし学科と実技のどちらか一方しか合格できなかった場合は、一部合格として次回の試験が免除されます。

 このとき、一部合格には有効期限があり、合格年度の翌々年度末までですのですぐに受検しましょう!

たとえば、2025年8月に学科試験のみ合格した場合は2028年3月31日まで有効です。
ただし、3月は受検できないため、実質2月末までが期限になります!

試験会場に電卓を持ち込むことができない

CBT方式への移行によりパソコンでの受検スタイルになりましたが、試験会場に電卓を持ち込むことができなくなりました。計算が必要な時はパソコンに内蔵されている電卓機能を使用することになりますので、あらかじめご注意ください。

できればパソコンの電卓機能に慣れておくと良いですが、操作方法はシンプルなので、安心して試験に臨んでください!

まとめ

FP2級と3級は、受検資格や試験の難易度、問われる内容に大きな違いがあることがお分かりいただけたと思います。どちらを受検すべきか迷ったときは、現在の知識レベルや目的を基準に判断することが大切です。

まずは3級で基礎を固めてから2級に進むルートが一般的ですが、条件が合えばいきなり2級を目指すのも一つの選択肢です。自分に合った学習プランで、無理なくステップアップを目指していきましょう!