ふるさと納税が10月から改悪?|ポイント付与の禁止などの変更点を解説

ふるさと納税は地域への応援と税金の控除がセットになった魅力的な制度ですが、2025年10月から制度が変わることをご存じですか?

この記事では、10月から変わる内容や今後のふるさと納税への影響などを解説します。

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この記事の著者

FPのライト専任講師 ゆーさく

・元市役所職員
・公務員在職時にファイナンシャル・プランニング(FP)技能士を取得
・FPのライト専任講師を務めるほか、日本FP協会支部活動にも参加し、FPの普及活動を行う。
(AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自治体に対して寄附を行いその寄附金が翌年の住民税や所得税から控除される制度です。

自分が応援したい地域に“ふるさと”として寄附を行うことで、その地域の発展に貢献できる仕組みです。

また、寄附をすると金額に応じて地域の特産品などが返礼品として受け取ることができます。

ふるさと納税の利用者は増えており、総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」によると、令和6年度の納税受入件数は5,878.7万件にものぼり、10年前の平成26年度の191.3万件と比較し30倍以上の結果となっています。

前述の通り、ふるさと納税は翌年の住民税や所得税の負担を下げる効果がありますが、それよりも返礼品が受け取れるというメリットが利用者増加を後押ししていると推察されます。

なお、勘違いされがちですが、翌年度分の税金を前払いする側面があるため、ふるさと納税は節税制度ではありません。

ふるさと納税に関する詳しい説明や控除される税金の試算などは、以下の記事で紹介していますので、合わせてお読みください。

【参考】公務員でも安心!ふるさと納税の始め方ガイド

ふるさと納税の10月からの変更点

ふるさと納税の10月からの変更点

ふるさと納税が2025年10月からルールが一部変更されます。

仲介サイトのポイント付与が禁止される

10月からの変更点は、ずばり仲介サイト(さとふる、楽天ふるさと納税、ふるなびなど)のポイント付与が禁止される点です。

参考:楽天市場

したがって、各種仲介サイトからのポイント付与を受けたい場合は9月末までにふるさと納税の寄附を済ませる必要があります。

ただ、それ以外の変更点はなく、ふるさと納税制度が終了するわけでもなければ税金の控除を受けられなくなるというものではありません。

ポイント付与が禁止される背景

今回、ふるさと納税の仲介サイトのポイント付与が禁止になった背景には、「ポイント付与の競争が激化」したことにあります。

仲介サイトにはさとふる、楽天ふるさと納税、ふるなびなど複数存在し、サイトごとにポイントやマイルなどの特典が別途付与される仕組みを取り入れています。

しかし、ふるさと納税の本来の目的は「地域を応援する」ことにあります。それがポイント競争の過熱により、本来の目的から逸れてしまっている状況が見られました。

また、各自治体は仲介サイトへの掲載手数料を支払っており、この手数料がポイント還元の原資になっている可能性があります。

これらの理由からポイント禁止という判断に至ったわけです。

2026年10月からのふるさと納税の主な変更内容

2025年10月からのポイント付与禁止によって仲介サイト側だけでなく私たち利用者にも一定の影響があると思われますが、実は2026年10月にもふるさと納税に関するルールは変わる予定です。

変更①:広報目的基準の明確化

市外で製造されたゆるキャラやぬいぐるみ等であっても市町村名が記載されていれば広報目的の返礼品として使用できましたが、2026年10月からはその自治体が自ら調達・配布・販売等を行う必要があります。

変更②:付加価値基準の明確化

返戻品の基準として、その市町村内で「相応の付加価値が生じている」かどうかが判断材料として設けられていますが、基準が自治体ごとで曖昧であることから、2026年10月からは返礼品の価値の半分以上がその自治体で生じたことを証明し、公表しなければならなくなります。

参考:令和7年6月24日 総務省「ふるさと納税の指定基準の改正等について」

ルール変更による私たち利用者への影響

本記事では、2025年10月からの変更点を中心に紹介しつつ、2026年10月にもルール変更があるということをご紹介しました。

これらの変更によって、ふるさと納税を実際に利用する私たちへの影響はどのようなものが考えられるかを簡単にまとめました。

2025年10月変更による影響

ポイント付与禁止により、単純にそのポイント分がもらえなくなるといった影響が挙げられます。

1回の納税で数百~数千ポイント(楽天ふるさと納税であれば、1ポイント1円)分の利用ができなくなることを考えれば、「改悪された」と感じる人もいるでしょう。

しかし、ふるさと納税をポイント付与を目的として利用している人はごく一部で、ほとんどの方が返礼品や翌年の税負担軽減のために利用していると考えられます。

したがって、2025年10月からの制度変更によって、ふるさと納税の利用がガクッと減ることは考えにくいです。

2026年10月変更による影響

2025年10月のルール変更とは異なり、2026年10月の変更内容は主に自治体に対するものであり、利用者への直接的な影響は感じにくいかもしれません。

しかし、返礼品に対するルールが厳しくなったことを意味しますので、今まで返礼品として存在していたものが無くなったり、数量が減るなど、間接的に利用者に影響が生じる可能性があります。

まとめ

ふるさと納税は制度の見直しが進み、10月以降はポイント付与のルールや寄付金の使い道などがこれまで以上に明確になりました。

制度を正しく理解することで、寄付先の地域に貢献しつつ、自分自身にとってもメリットのある選択ができます。

これから利用を検討する方は、変更点を押さえて上手に活用してみてください。