近年人気が高まっているファイナンシャルプランナー(FP)は、金融・税金・保険などの生活に役立つ知識が学べることから、受検者数も増えている人気資格の1つです。しかし、「どのように勉強すべきかわからない」「すぐに取得できる資格なの?」と感じる方もいるのではないでしょうか。特に最近は、SNSの普及などで勉強方法が多様化し、何から始めればよいかわからずに無計画で独学で勉強する方も多いはず。
しかし、適切な方法を講じれば独学でも問題なくFP試験に合格できます。そこでこの記事では、FP試験の独学での学習方法、短期合格の学習スケジュールまで徹底解説します。
目次
FP資格は独学で合格できる

先に結論から言うと、FP試験は独学でも十分合格可能です。お金の専門家であるFPの資格を多額のお金をかけて取得するのは本末転倒なので、ぜひ独学で取得したいところです。
ただし、独学で取得できるのはFP2級とFP3級に限られます。理由は次の通りです。
FP試験の受検資格
まず、FP試験に独学で合格できるかをお伝えする前に、FP試験の受検資格からご紹介します。そもそもFP試験はFP1級~3級の国家資格と、AFP、CFPの民間資格があり、次の表の通りに受検資格が定められています。
受検資格 | |
---|---|
FP3級 | FP業務に従事している者または従事しようとしている者 |
FP2級 | 以下のうち、1つ以上を満たす場合 ・FP3級の合格者 ・FP業務に関し2年以上の実務経験がある ・AFP認定研修(基本課程)修了者 ・金融渉外技能審査3級(FP試験の前身)の合格者 |
FP1級 | 以下のうち、1つ以上を満たす場合 ・FP2級合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験がある ・FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者 ・金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験がある |
AFP | 主な方法は、以下のうちいずれかの場合 ・FP2級合格者がAFP認定研修(技能士課程)を修了 ・AFP認定研修(基本課程)修了後にFP2級に合格 |
CFP | 以下の全てを満たす場合 ・AFP認定者である ・CFP資格審査試験6科目全てに合格する ・CFPエントリー研修の修了 ・FP業務に関し3年以上の実務経験がある(実務経験としてカウントされる研修あり) |
※AFP認定研修の基本課程と技能士課程の違いは割愛します。
上の表の通り、FP1級やAFP、CFPは実務経験や研修を修了する必要があります。よって、独学で取得できるFP資格はFP2級と3級だけになります。

FP資格の独学のメリットとデメリット

独学でFP3級や2級を取得するにあたり、メリットとデメリットを理解する必要があります。
独学のメリット
メリットは大きく2つあります。
まずは、何よりも学習コストが抑えられる点です。ご自身で購入するテキスト代や文具費用だけで抑えられるため、学習コストはおよそ5,000円程度に収めることができます。特に、FP試験は過去問が無料で公開されているため、アウトプットも手軽にできるほか、最近ではYouTubeで無料講義を行っているチャンネルもあるため、コストを抑えても合格することは可能です。
次に、スケジュールを自由に組むことができる点です。予備校などに通う場合、カリキュラムに合わせなければならないところ、独学であればご自身の好きなタイミングで学習できるため、学習管理が得意な人にとっては独学という選択肢も十分にアリだと思います。
独学のデメリット
一方で、独学にはデメリットもあります。ここでは3つご紹介します。
まずは、わからないところを自分で解決しないといけない点です。予備校では先生や仲間が近くにいる環境のため、わからない点などを気軽に質問できるのが特徴ですが、独学の場合は全て自分で調べる必要があります。この点は真っ先に浮かぶのではないでしょうか。
次に、モチベーションの維持が難しい点です。学習管理やわからないところの解決も全て自身で行わなければならないため、モチベーションの維持が大変です。また、FP試験は2級も3級もCBT方式(パソコン形式での受検)に切り替わり、通年受検が可能になった点もモチベーション維持が難しい要素になります。
従来の紙方式の場合は1年で3回しか受検するチャンスが無かったため、ある意味でモチベーション維持がしやすかったです。しかし、CBT方式への移行で通年受検できたため、独学の場合、だらだらと学習してしまうリスクがあります。
そしてもう1つが法改正の情報収集が難しい点です。FP試験の内容は法改正により、例えば老齢年金の金額などは毎年のように変わります。そのため、独学の場合は情報のキャッチアップが難しい点もデメリットと言えます。

独学の勉強方法

それでは、FP試験を独学で学習する方に向けて、学習方法をご紹介します。
受検時期を決める
まずは、FP試験の受検時期を決めることから始めましょう。先ほどもお伝えしましたが、FP2級と3級はCBT方式に移行し、通年で受検が可能になりました。そこで、いつ受検したいか、そしていつまでに資格を取得したいかを決めましょう。
ただし、2つ注意しておきたい点があります。1つ目が1年のうち受検できない日がある点です。年末年始はもちろんのこと、3月は一切受けることができないため日程は必ず把握しておきましょう。
2つ目が、試験日と合格発表日にタイムラグがある点です。FP試験は受検日の属する月の翌月中旬ごろに合格発表されます。同じくCBT方式が導入されている日商簿記試験はリアルタイムで合否判定されますが、FP試験はリアルタイムで合否判定されないため、たとえば職場から取得期限を指定されていたり、就職や転職時の履歴書に記載したい場合は合格発表日を意識して受検しましょう。
試験日 | 合格発表日 | 法令基準日 |
---|---|---|
2025年4月1日~4月30日 | 5月19日 | 2024年4月1日 |
2025年5月1日~5月24日 | 6月16日 | |
2025年6月1日~6月30日 | 7月15日 | 2025年4月1日 |
2025年7月1日~7月31日 | 8月18日 | |
2025年8月1日~8月31日 | 9月16日 | |
2025年9月1日~9月30日 | 10月16日 | |
2025年10月1日~10月31日 | 11月18日 | |
2025年11月1日~11月30日 | 12月15日 | |
2025年12月1日~12月28日 | 1月19日 | |
2026年1月6日~1月31日 | 2月17日 | |
2026年2月1日~2月28日 | 3月16日 |
市販のテキストを読む
独学で学習する場合は市販のテキストが学習の基本になります。この時に、できれば最新のテキストを購入してください。先ほどもお伝えしましたが、FP試験は毎年法改正が行われるため、以前は正解だったものが現在は不正解になることもあり得ます。
中古本やネットショップで過去のテキストを購入しても差し支えありませんが、その場合、最新の情報と突合しなければならないため勉強効率が悪くなります。
ちなみにテキストは図解や表、そして用語の解説が長すぎないを選びましょう。短い時間で合格するためにはすらすらと読み進められる構成の方が良いため、文章メインで構成されているテキストよりも、図解や表がなどが適度に入っているテキストを選びましょう。
過去問を解く
独学勉強において、過去問演習は必要不可欠です。FP試験では過去問が無料で公開されているため、必ず過去問に挑戦しましょう。このとき、時間を計測して学習することをオススメします。理由は学習方法と試験方法が異なるためです。
普段の学習はテキストで行いますが、実際の試験はCBT方式になります。そのため、普段から時間配分に慣れておくことでCBT方式にもスムーズに対応できます。
FPのライトの無料問題を活用しよう!
FPのライトでは、近年の出題傾向や留意したいポイントを網羅した問題を無料でご用意しています。PCやスマホから解けるだけでなく問題ごとにタイマー機能を設けているため、試験さながらの構成になっている点が強みです。
※2級は準備中です。順次公開していきますので、少々お待ちください…。
勉強の記録をとる
そして、テキストや過去問で学習したらぜひ勉強の記録を取りましょう。問題演習でも十分アウトプットの効果がありますが、それを別のツールなどに書き込むことで、学習の振り返りがしやすくなるだけでなく、更にアウトプットの質が高まります。
私がオススメする記録方法を3つ紹介します。
Studyplusに記録

まずはStudyplusで記録する方法です。私も2級と3級の学習管理の際にStudyplusに記録していました。日々の学習を記録できるだけでなく、試験日を設定し試験日までのカウントダウンをしてくれるため、進捗管理やモチベーション維持に便利です。
XやInstagramなどのSNSに投稿
次に、XやInstagramに学習内容を投稿する方法もおすすめです。他のユーザーが閲覧できる媒体に学習範囲や時間を記録する習慣をつけることで、サボりづらい環境を作ることができます。独学のかたは特にオススメです。
Notionに記録

そして、Notionもおすすめです。Notionとは、メモやタスク管理、ドキュメント管理など生活や仕事で使うツールを1つにまとめたサービスです。無料でもさまざまな機能を利用できるため、私はタスク管理やメモ、学習記録も全てNotionで管理しています。タイマー機能やカレンダーとも連携できるため、最近の私はNotion一択です。

勉強時間を確保しよう

独学の場合、勉強時間の確保が特に重要になります。ご自身の受検日を決めたら、次に紹介する勉強時間の目安を参考に勉強を進めていきましょう。
FP3級の勉強時間(目安)
FP3級の合格に必要な勉強時間は、およそ80時間~100時間程度とされています。そのため、仮に1日2時間勉強すると、40日~50日程度で合格できることになります。
FP2級の勉強時間(目安)
FP2級の合格に必要な勉強時間は、およそ150時間~200時間程度とされています。仮に1日2時間勉強すると、75日〜100日程度で合格できることになります。

まとめ
FP資格の独学は、正しい教材選びと計画的な学習を行えば十分に合格可能です。特に3級・2級は独学者にとって取り組みやすく、費用を抑えてスキルアップを目指せます。自分の目的に合った学習方法を選び、効率よく合格を目指しましょう。