FPと簿記の違い | それぞれの難易度や取得メリットを紹介

FPと簿記はどちらもお金に関する資格であり、取得のハードルも低いため人気の資格です。しかし、どちらも似た特徴を持つためしばしば比較されることもあります。

そこで今回は、FPと簿記の違いについて紹介します。それぞれの「難易度」や取得する「メリット」を中心に触れつつ、両方の資格に興味がある人に向けて「どちらから取得するべきか」という優先順位についても解説します。

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この記事の著者

FPのライト専任講師 ゆーさく

・元市役所職員
・公務員在職時にファイナンシャル・プランニング(FP)技能士を取得
・現在は、FPのライト専任講師を務めるほか、日本FP協会支部活動にも参加し、地域独自のFPの普及活動を行う。
(AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

FPと簿記の特徴

まずはじめに、FPとは何か、そして簿記とは何かについて簡単に解説していきます。

FPとは

FP(ファイナンシャルプランナー)とは、税や年金、保険、不動産など幅広い知識を持つプロです。FPを名乗るためにはファイナンシャル・プランニング技能士試験に合格する必要があり、有名な資格として1級FP技能士、2級FP技能士、3級FP技能士があります。

これからFP資格を取得するかたは、原則として3級から取得し、2級、1級へとステップアップしていくのが基本になります。

このように、FPはお金についての広い知識を持つことを証明できる資格であり、日常の生活に役立てられるうえに、金融業界や保険業界、不動産業界など様々な業界でFP資格者が活躍できる余地があります。

簿記とは

一方、簿記とは会社のお金に関する流れや取引を記録し、明確にするための技術のことを指します。会社で利益をもたらすためには、部品や材料を仕入れ、それを加工などをして消費者に販売することで成り立っています。

このとき、帳簿と呼ばれる日々の取引の状況を記録するための書類に記入していく必要があります。これを簿記といい、簿記の技術を確かめる資格である簿記試験にも1級、2級、3級があります。

簿記の知識はどの会社にも求められるため、FPと同様に活躍の幅が広いものの、個人向けの資格であるFPとは違い、簿記は会社向けの資格である点に違いがあります。

取得するメリット

取得するメリット

既に一部をご紹介していますが、FPと簿記それぞれの資格には様々なメリットがあります。

FPのメリット

たくさんありますが、ここでは3つほどご紹介します。

お金の知識を得られる

まずは広いお金の知識を得られる点です。FPは年金や税金(主に所得税や消費税)、保険など日常の生活に欠かすことができない知識を身につけることができ、自身の生活に役立てられる点が大きなメリットです。

また、近年はSNSやネット、AIの普及によって多様な投資詐欺なども増えています。残念ながら詐欺の手法も多様化しており、それに伴い被害者も減らないのが現状です。しかし、FPの知識を通してマネーリテラシーを高めることで、詐欺の被害のリスクを抑えられる点も大きな強みと言えます。

就職や転職に強い

次に副業や転職に強い点です。FPが活躍できる業界は幅広く、FP資格があるだけで就職や転職に有利に働きます。

もちろんFP2級やFP1級、またはAFP/CFPの資格があるとよりメリットを活かしやすいですが、FP3級があるだけでも広い知識を持っている証ですので、これから就職や転職を予定している人にとっては、ぜひ取得しておきたい資格と言えます。

FP3級も履歴書に積極的に書きましょう!もし不安をお持ちでしたら、【履歴書に書ける?】FP3級を書く際の注意点とアピールポイントという記事を読んでみてください。

他の資格との相性が良い

そして、他資格との相性が良い点です。FPが広い業界で活躍できる点に通ずる話ですが、お金に関する知識はFPや簿記だけではありません。

FP試験は大きく6科目に分かれますが、それぞれの科目ごとに相性が良い資格があります。

FPの科目主な資格
ライフプランニングと資金計画簿記、社会保険労務士、中小企業診断士、DCプランナー
タックスプランニング税理士
リスク管理生命保険募集人、損害保険募集人
金融資産運用証券外務員
不動産宅地建物取引士、土地家屋調査士
相続・事業承継司法書士、相続アドバイザー
FPと相性が良い資格一覧

このように、FP資格だけでも十分にメリットがありますが、他の資格との掛け合わせてにより、よりスキルアップにつながります。

簿記のメリット

簿記にもメリットがたくさんあります。こちらも3つご紹介します。

お金の流れが見えるようになる

簿記は主に会社のお金の流れを把握するための技術です。そのため、自身で事業を始めたときに「売上・経費・利益」を正確に把握でき、経営判断がしやすくなる点がメリットです。

そして、簿記は日々の取引を記録する側面だけでなく、会社の決算書(=成績表)を作成する際にも簿記の知識が求められます。会社は、利益に対して法人税と呼ばれる税金を納める必要があるわけですが、税金の計算の過程には簿記の知識が密接に関わりがあります。

自身で事業を始める場合、簿記の知識はぜひ身についておいて損はありません。

就職や転職に強い

簿記の能力はどの会社に必要とされます。そのため、業界を問わず簿記の知識がある人が求められるため、個人的にはFP以上に就職や転職に役立つと考えています。

投資や企業分析に役立つ

簿記の知識は会社への投資(株式の取引など)に役立ちます。先ほどお伝えした通り、会社の決算書の作成に簿記の知識が関わっていることから、財務諸表(貸借対照表・損益計算書)を読み解けるようになる点もメリットになります。

FPと簿記の優先度

FPと簿記の優先度

ここまでFPと簿記のメリットをご紹介し、2つの資格に興味を持った方もいらっしゃると思います。ここで、FPと簿記を取得する場合にどちらから先に取得すべきかについてお伝えすると、先に取得すべきなのはFP試験をおすすめします!

理由として、FP試験の方が合格率が高いからです。ここでFP3級と簿記3級、そしてFP2級と簿記2級のそれぞれの合格率を比較してみたいと思います。

FP3級と日商簿記3級の合格率比較

まずは、FP3級と簿記3級の合格率の比較です。以下のグラフはそれぞれの合格率の推移を表したものです(線をタップすると合格率が表示されます)。

FP3級の合格率は約8割を推移しておりますが、簿記3級の合格率は約3割~5割の間にとどまっております。

FP3級(FP協会)※実技は資産設計提案業務

参考:日本FP協会 FP技能士の取得者数及び試験結果データ

日商簿記3級(統一試験)

参考:簿記 商工会議所の検定試験「3級受検者データ(統一試験)」

FP2級と日商簿記2級の合格率比較

続いて、FP2級と簿記2級の合格率の比較です。最初にそれぞれの合格率を比較してみましょう。FP2級になると合格率が低下し、学科試験で約4割~6割、実技試験で約5割~6割の合格率となっています。

一方で、簿記2級の合格率は、約1割~3割と非常に低い水準となっております。

FP2級(FP協会)※実技は資産設計提案業務

参考:日本FP協会 FP技能士の取得者数及び試験結果データ

日商簿記2級(統一試験)

参考:簿記 商工会議所の検定試験「2級受検者データ(統一試験)」

以上から、合格率が高いFP試験から受検し、幅広い知識を習得したうえで簿記を受検するという流れが私のオススメになります。また、資格試験の合格という成功体験を積むことも学習のモチベーション維持に大切な要素だと考えています。

ただし、FP試験(特に2級以上)の一部の範囲で簿記の知識が必要になります。ご自身のスタイルに合う順番で学習していくと良いでしょう!

FPと簿記のダブルライセンス

FP資格と簿記資格の両方を取得する「ダブルライセンス」は、専門性が高まり、仕事の選択肢や活躍の場がぐっと広がるのが魅力です。特に、法人と関わる機会がある方には相性が抜群です。

たとえば、保険代理店や証券会社などで企業に向けた営業活動を行う場合、簿記で身につける決算書や会計の基礎知識が大いに役立ちます。FPは個人の家計やライフプランを支える資格で試験内容も個人向けのマネープランに重点が置かれています。一方で、企業と向き合うには、財務諸表や法人税務といった知識も不可欠です。

簿記をあわせて学ぶことで、企業の財務状況や経営状態を理解する力が備わり、法人営業の信頼性や提案力がアップします。

実際、保険業界では個人のお金に詳しい人は多くても、法人会計に強い人は少数派。だからこそ、FP×簿記という組み合わせは個人と法人の両方に対応できる希少な存在として重宝されます。

まとめ

FP(ファイナンシャルプランナー)と簿記は、どちらもお金に関する重要な資格です。本記事では、それぞれの特徴、難易度、取得メリットを詳しく解説しました。

FPは個人の資産設計やライフプランニングに関する知識を提供し、簿記は企業の財務状況を把握し、経営判断をサポートします。どちらの資格も就職や転職に有利であり、ダブルライセンスを取得することで、さらに専門性を高めることができます。自身のキャリアプランや興味に合わせて、取得を検討してましょう!