FP2級(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)とAFP(Affiliated Financial Planner)は、いずれもファイナンシャル・プランナーに関連する資格ですが、その位置づけや取得方法には大きな違いがあります。
本記事では、FP資格を目指す方に向けて 「AFP 2級 違い」「AFP 取得方法」「AFP 認定研修」といったポイントをわかりやすく解説します。
目次
AFPとは何か?認定団体と役割

AFP資格は、日本FP協会(NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)が認定する民間資格です。FP業界において基礎的な実務スキルと知識を持つことを証明するものであり、上級資格であるCFP®の手前に位置付けられるステップ的資格でもあります。
AFP資格を取得することで、FPとして必要な倫理・コンプライアンスと、ライフプランや金融・保険などFPに必要な6分野の専門知識を体系的に修得し、顧客のニーズに応じて適切なアドバイスや提案書の作成スキルを身につけたことが認定されます。
AFP認定者となるにはFP2級試験に合格することが前提条件であり、日本FP協会が認定する教育機関の「AFP認定研修」を修了することが求められます。
AFP認定研修については後述しますが、FPに必要な6つの領域を学ぶカリキュラムと、課題として顧客への提案書を作成・提出して合格することが含まれています。
そのためAFP資格者は、単に知識を有するだけでなく実践的技能と倫理観も備え、FP協会に資格会員(正会員)登録しているプロのFPとして位置づけられます。
ちなみに、AFP資格は民間資格ですがFP業界では広く認知されており、日本FP協会「さまざまな分野で活躍するCFP®・AFP認定者」によると、2024年5月時点で159,131人のAFP認定者が全国で活躍しています。AFP資格者はその後さらに上位資格のCFP®に進むケースも多く、金融業界では専門性の証として高く評価されています。
FP2級とAFPの違い
FP2級技能士(以下、FP2級)とAFP資格の主な違いを、取得要件や更新の有無などの観点から整理します。以下の表に両者の違いをまとめました。
FP2級 | AFP | |
---|---|---|
認定機関 | 厚生労働省 (試験は日本FP協会または記入財政事情研究会にて実施) | 日本FP協会 |
種別 | 国家資格 | 民間資格 |
取得要件 | FP2級試験に合格 | FP2級試験に合格+AFP認定研修の修了+FP協会への会員登録 |
更新の有無 | なし | 有り (2年ごとに更新が必要) |
更新料 | なし | 年会費12,000円 (入会金10,000円。その他研修費等は別途料金) |
上記からわかるように、FP2級とAFPとの最大の違いは「更新の有無」です。FP2級は一度合格すれば基本的に永年有効ですが、AFPには「更新」の制度があるため、毎年年会費が掛かる点や、更新をするために単位を取得しなければならず、そのための研修費などが別途かかります。
また資格取得後も継続教育による知識のブラッシュアップと、倫理規程の順守を続けることが義務づけられます。言い換えれば、AFP資格者は「FP2級に合格した上でさらに実践力と専門性を磨き続けている」ことを客観的に示す存在と言えるでしょう。
AFP認定研修とは何か?基本課程と技能士課程など
AFP資格を取得するために必ず受講・修了しなければならないのがAFP認定研修です。
AFP認定研修とは、日本FP協会が認定する教育機関で実施されているカリキュラムを指し、FPに必要な倫理・コンプライアンスからライフプラン、金融、保険、年金、不動産、税金までの6つの専門分野を体系的に学べる内容になっています。
研修ではこれら専門知識の履修に加えて、最終課題として提案書の提出が課され、これに合格することで研修修了(AFP認定研修修了)が認められます。
提案書課題は実際の顧客を想定した資金計画・問題点の分析とアドバイス提案をまとめるもので、FPとしての実務能力を養う重要なステップです。
AFP認定研修には大きく分けて「基本課程」と「技能士課程」(※他に税理士・会計士向けの「税理士課程」もありますが、本記事では割愛します)というコースがあります。多くの受講者は基本課程または技能士課程のどちらかを選択することになります。
基本課程とは
基本課程とは、初学者向けのコースです。まだFP2級検定を受験・合格していない人(FP3級合格者を含む)が対象で、この基本課程を修了するとFP2級技能検定の受検資格を得られます。
すなわち、FP3級を持っていない方でも基本課程を受講修了すればいきなりFP2級試験にチャレンジ可能というメリットがあります。
また、基本課程のカリキュラム自体が2級試験範囲の学習を網羅しているため、2級試験対策講座として受講するケースも多いです。
技能士過程とは
一方で技能士課程とは、既にFP技能士2級以上に合格している方向けのコースです。2級または1級FP技能検定に合格済みの人が対象で、基本課程に比べて実務的な内容である点と、短期間で修了できる点が特徴です。
具体的に技能士課程では、主に提案書作成課題の提出と必要単位の履修をもって研修修了となるケースが多く、通信講座なら最短1か月程度で終えることも可能です。
以上のように、自分の状況(2級合格の有無)に応じて適切な課程を選択します。
AFPになるための手順・条件(AFP資格取得の流れ)

それではAFP資格を取得するまでの流れを説明します。AFP取得までの取得手順は大きく2通りあります。
AFP取得方法①:FP2級未取得者が「基本課程」で取得
まずはFP2級を取得していない方がAFPを取得するまでの手順です。
AFP認定研修(基本課程)を修了
基本課程を受講し、修了すれば2級FP技能検定の受験資格が得られます。まずは基本課程から受講をはじめてみましょう。
FP2級に合格
基本課程で学んだ知識を活かし、FP2級に合格しましょう。
日本FP協会に入会し、AFP資格認定を申請
FP2級合格後、FP協会へ入会手続きを行います(入会金・年会費が必要です)。その後、AFP資格認定者として登録されます。
AFP取得方法②:FP2級取得者が「技能士課程」で取得
続いて、既にFP2級を取得している人がAFPを取得するための手続きをご紹介します。
AFP認定研修(技能士課程)を修了
FP2級合格後、AFP認定研修の技能士課程に申し込みます。短期集中の通信講座等で提案書作成と必要単位の履修を行い、研修を修了します。
すでにFP2級に合格していれば学習範囲は重複する部分も多いため、比較的負担少なく受講できます。
日本FP協会に入会し、AFP資格認定を申請する。
技能士課程修了後、FP協会の入会・資格登録申請を行います。所定の手続きを経てAFP資格認定者として登録されます。
このように、それぞれでAFP認定までの流れが違います。
AFP認定研修の料金

ここで、AFP認定を受けるために必須となる料金も比較してみましょう。
基本課程の料金(最安値)
AFP認定研修の検索によると、基本課程の最安値は22,000円でした。
料金はカリキュラムによって異なるため、アクセスして確認しましょう。
技能士過程の料金(最安値)
技能士課程の最安値は8,800円です。
前述の通り技能士課程は短期修了できる内容なため、基本課程よりも料金が安い傾向にあります。
基本課程と技能士課程どちらがおすすめ?
筆者がおすすめするAFP認定方法は、FP2級を取得した後に技能士課程を受ける方法です。理由は大きく2つで、「費用が安いから」、「AFP取得までの期間に大きな違いが無いから」です。
まず費用についてですが、基本課程で22,000円を支払って3級をスキップしたとしても、結局2級を取得しなければならないことに変わりありません。
なお、FP3級の受験料は学科+実技合わせて8,000円で、これらを踏まえて基本課程と技能士課程それぞれの料金をまとめました。
基本課程・技能士課程ごとのAFP取得費用
基本課程でAFPを取得 | 技能士過程でAFPを取得 | |
---|---|---|
FP3級受験料(学科+実技) | ― | 8,000円 |
FP2級受験料(学科+実技) | 11,700円 | 11,700円 |
基本課程の料金(最安) | 22,000円~ | ― |
技能士課程の料金(最安) | ― | 8,800円~ |
合計 | 33,700円~ | 28,500円~ |
次に取得期間についてですが、基本課程の学習期間はおよそ4ヵ月~6ヵ月程度で設定されていることが多いです。そのうえで2級を取得する必要があるため、3級をスキップすることによる時短効果はあまり期待できません。
以上の2つの理由から、「FP3級取得→FP2級取得→技能士課程修了」の流れを推奨します。
ちなみに、FP1~3級、AFP、CFPごとの取得費用についてまとめた記事もございますので、合わせてご確認ください。
AFPを取得するメリット

最後に、AFP資格を取得することで得られるメリットについて整理します。
AFP認定者になるメリットは以下の通りです。
メリット①:専門資格として信頼性が向上する
AFP認定者は「2級FP技能検定の合格」と「AFP認定研修の修了」という二つのハードルを越えており、さらに資格取得後も最新知識の習得と倫理順守を継続している点で信頼性が高いと評価されます。
これらにより、顧客や周囲から「より安心して相談できるFP」と見なされるメリットがあります。
メリット②:最新の知識・情報を継続的に得られる
AFP資格者になると、2年ごとの資格更新が必要になるため、常に継続学習を行うことになります。その過程で最新の税制や金融商品の知識をキャッチアップでき、提供するプランやアドバイスの質を高く保てます。
またAFP・CFP会員には毎月「FPジャーナル(会報誌)」が送付され、経済動向や実務情報、専門家のコラムなど最新の業界情報を入手可能です。
このように、AFP資格を取ることで「資格を維持するための勉強」を続けるモチベーションが生まれ、結果的に自分自身のスキルアップにつながります。
メリット③:キャリア面で有利 & CFPへの道が開ける
AFP資格は金融業界を中心に高い評価を得ており、特に銀行・証券・保険会社等ではFP2級より一歩進んだ資格として人事考課や採用で評価対象になる場合があります。
就職活動でも「AFP資格取得済み」であることは志望動機と結び付けやすく、他業種でもFP知識が希少なスキルとして注目されるケースもあります。
さらにAFP認定者であれば、上級資格であるCFP®試験の受験資格を得ることができます。CFPは国際的に認められた高度なFP資格で、将来独立系FPとして活躍したり専門家として信頼を得たりする上で大きな強みとなります。
メリット④:FP同士のコミュニティが広がる
AFP資格を取得しFP協会の正会員になると、全国のFPとのコミュニティを広げることができます。全国には8ブロック50支部があり、協会組織の一員として人的ネットワークを築く機会が増えます。
AFPやCFPが参加できるオフライン研修やイベントがあったりと他のFPと情報交換や交流が可能になります。
単に資格を持っているだけでなく、コミュニティに属することで得られるメリットもAFPならではと言えます。
まとめ
FP2級とAFP資格の違い、その取得方法や研修内容、メリットについて解説しました。
AFP資格とは、日本FP協会が認定する民間資格であり、FP2級に合格した者が所定の研修を修了して初めて得られる資格でした。FP2級が知識習得の証であるのに対し、AFPは実践力や継続的な専門性向上の姿勢を含めた“プロの証”と言えるでしょう。
FP資格は取って終わりではなく、取った後にどう活かすかが大切です。AFP資格を取得し継続学習に取り組むことは、FPとして常に知識をアップデートし続けることを意味します。
結果的に顧客満足度の向上や自身の市場価値向上にもつながります。ぜひ本記事の内容を参考に、今後の資格取得計画やキャリア形成にお役立てください。