FP2級がCBTに変更|CBT方式の注意点や試験方法を解説

2025年4月からFP2級試験でCBT方式が導入されましたが、従来の紙の試験とは特性が全く異なります。受験方法が転換されると、戸惑いも出てくるのではないでしょうか?

そこで、これからFP2級の受験を目指している方に、CBT方式とはどのような試験なのか、そして従来の会場(紙媒体)による試験とどのような違いがあるのかを解説します。

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この記事の著者

FPのライト専任講師 ゆーさく

・元市役所職員
・公務員在職時にファイナンシャル・プランニング(FP)技能士を取得
・現在は、FPのライト専任講師を務めるほか、日本FP協会支部活動にも参加し、地域独自のFPの普及活動を行う。
(AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

CBT方式とは何?

CBT方式とは何?

そもそもCBT方式とはコンピュータを使った試験方式のことで、Computer Based Testingの略称です。

受験者は試験会場となるテストセンタ―に行き、センター内にあるパソコンを使って解答します。以下の休止期間を除いてほぼ毎日受験が可能になりました。

2025年度の休止期間2025年5月25日(日)~2025年5月31日(土)
2025年12月29日(月)~2026年1月5日(月)
2026年3月1日(日)~2026年3月31日(火)

テストセンターの場所

47都道府県に300ヵ所以上のテストセンターが設置されており、CBT方式専用サイトから、最寄りの試験会場を確認できます。

CBT方式の申込方法

FP2級のCBT方式の申込は全てオンラインで完了します。

まず初めに、CBT受験者用サイトにてマイページアカウントを作成する必要があります。アカウントの作成や申込方法は以下の通りとなります。

STEP

マイページアカウントIDを新規作成

STEP

ログイン後、受験者専用ページでFP試験申し込み(団体受験/個人受験を選択)

STEP

受験日時、会場を選択

STEP

受験手数料の支払い方法(クレジットカード、コンビニ決済、ペイジー決済、銀行ATM、ネットバンキング利用可能 )を選択して申込予約完了
※受験日の3日前までは、マイページから試験日時と会場の変更が可能です。

なお、FP3級は2024年度からCBT方式に移行しておりますが、FP3級をCBT方式で合格した場合、マイページアカウントの作成は不要です。

なお、FP3級のCBT方式に関する記事もご紹介していますので、合わせてお読みください。

【参考】【CBT方式とは】FP3級試験の特徴と注意点、従来との違いを徹底解説

ペーパー方式(会場受験)からCBT方式に移行して変わった点

ペーパー方式(会場受験)からCBT方式に移行して変わった点

FP2級は2025年4月1日からCBT方式に移行しましたが、従来のペーパー方式(会場受験)からCBT方式に移行したことで変わった点をご紹介します。

変更点①:筆記用具を持ち込むことができなくなった

CBT方式により、FP2級の試験会場に筆記用具を持ち込むことができなくなりました。計算が必要な際は、会場に用意されている鉛筆や消しゴムを利用する必要があります。

変更点②:腕時計を持ち込むことができなくなった

腕時計も同様に持ち込むことができなくなりました。

時間の管理はパソコンの画面に記載されているデジタル時計を見て時間の管理を行う必要があります。

変更点③:電卓を持ち込むことができなくなった

従来はFP試験の会場に電卓を持ち込み、試験中に計算を行っていました。しかし、CBT方式により普段使用する電卓を持ち込むことができなくなりました。

その代わり、パソコン画面上に表示される電卓機能を用いて計算を行うことになります。

出所:株式会社CBTソリューションズ「ファイナンシャル・プランニング技能検定 CBT試験方式での画面内電卓利用方法」

また、電卓だけでなく試験の出題方法・回答方法も全てパソコンの画面上で行う必要があります。

以下の表は、従来のペーパー方式とCBT方式との違いをまとめたものです。

ペーパー方式(従来)CBT方式
出題方法問題用紙画面上に問題が表示
回答方法解答用紙に鉛筆で記入画面に沿って回答
筆記用具持込可能持込不可
(テストセンター側から貸出)
腕時計持込可能持込不可
(画面上で時間を管理)
電卓持込可能持込不可
(画面上の電卓ツールを使用)
ペーパー方式とCBT方式の比較

変更点④:問題用紙を持ち帰ることができなくなった

CBT方式はパソコン画面で回答する性質上、試験問題を持ち帰ることができません。

試験終了後すぐにスコアレポートで得点状況を確認できる点と合わせて、従来の会場受験と大きく変わりました。

ここで1つ注意点があります。それは、得点はその場でわかるものの、正式な合否は試験日翌月中旬ごろに受験団体のHPで公開されるまでは発表されないという点です。

同じくCBT方式である簿記試験の場合は、得点と結果が即時判定され、その場でデジタル合格証が発行されるのですが、FP試験の場合は少し特徴が異なりますので注意しましょう。

ただし、FP2級の合格点は公開されているため、スコアレポートの得点を見てご自身で合否を把握することは可能です。

【2025年度】FP2級合格発表日&合格点一覧

試験日合格発表日法令基準日合格点
2025年4月1日~4月30日5月19日2024年4月1日

学科36点(60点満点)
FP協会実技:60点(100点満点)
金財実技:30点(50点満点)

2025年5月1日~5月24日6月16日
2025年6月1日~6月30日7月15日2025年4月1日
2025年7月1日~7月31日8月18日
2025年8月1日~8月31日9月16日
2025年9月1日~9月30日10月16日
2025年10月1日~10月31日11月18日
2025年11月1日~11月30日12月15日
2025年12月1日~12月28日1月19日
2026年1月6日~1月31日2月17日
2026年2月1日~2月28日3月16日

ペーパー方式(会場受験)からCBT方式に移行しても変わらない点

ペーパー方式(会場受験)からCBT方式に移行しても変わらない点

ここまで見ると、ペーパー方式からCBT方式への移行によって大きく異なっていることがわかりました。

しかし一方で、従来のペーパー方式と変わっていない点もあります。従来との変更点と共通点をそれぞれ理解しておきましょう。

共通点①:試験時間

FP2級の試験時間は従来と変更はありません。

学科試験実技試験
120分90分

ちなみにFP3級は、CBT方式に移行したことで学科試験が120分から90分に短縮されました。

共通点②:試験範囲

FP2級の試験範囲もペーパー方式の時と同じです。

学科試験

科目
ライフプランニングと資金計画
タックスプランニング
リスク管理
金融資産運用
不動産
相続・事業承継

実技試験

なお、FP2級からは実技試験の種類が5つに増えます

日本FP協会金財
資産設計提案業務 個人資産相談業務
生保顧客資産相談業務
損保顧客資産相談業務
中小事業主資産相談業務

学科試験は上記6科目から出題されますが、実技試験の場合はそれぞれ出題科目が異なります。

そこで、FPのライトがわかりやすく画像形式でまとめました。ぜひ保存して学習スケジュールを立てていきましょう!

FP2級の実技試験の出題範囲をまとめた表

なお、FP2級の実技試験に関する記事も公開していますので、合わせてチェックしてください。

共通点③:受験料

受験料もこれまでと同じです。学科試験と実技試験の受験料の内訳は以下の通りで、学科と実技を一度に受験する場合は、合計11,700円になります。

学科試験実技試験
5,700円(非課税)6,000円(非課税)

共通点④:合格点

従来通り、6割以上で合格です。

一部合格の場合は免除可能

FP試験は学科試験及び実技試験の両方の合格で資格取得となります。もし、片方だけ合格している場合は、次回以降免除が可能です。

ただし、免除申請ができるのは、合格した試験実施日の翌々年度末までになります。

例:2023年4月(令和5年度試験)に一部合格→2026年3月31日まで免除可能(令和7年度試験)

パソコンに慣れていないかたはCBT方式が不利になるか?

前述の通り、CBT方式はパソコンで受験するスタイルです。中には、「パソコンの操作に慣れていないかたにとって、CBT方式が不利になるのか」と不安に感じる方もいると思います。

しかし、回答操作はとても簡単な仕組みになっているため、パソコン操作に慣れていない方や苦手意識を持つ方も安心して回答できますのでご安心ください。

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※CBT方式を完全再現したものではありません。また、現在は3級のみご用意しています。

筆者が考えるCBT方式の問題点

ペーパー方式の場合、5月、9月、1月の年3回しか受験する機会がありませんでした。それがCBT方式に移行したことでいつでも受験できるようになり、FP試験に興味を持ってくれる人が増えるきっかけにはなる点は良いと感じています。

しかし、多くの人が受験する分、資格そのものの価値が下がることになります。

近年のFP試験は難化傾向にあるとはいえ、FP1~3級には更新義務がないため、新制度への理解不足が原因による誤った情報を伝えるFPが増える、すなわちFPの信用失墜の遠因にもなりかねません。

あくまで私個人的な意見ではありますが、CBT方式の導入も大事ですが、FPライセンス自体のルールそのものにまずはテコ入れをするべきと考えております。

ちなみに、更新義務のあるCFPやAFPはライセンスカードが交付されますが、FP1級~3級にはライセンスカードは交付されません。

なお、従来は希望制でFP1級~3級のライセンスカード(技能士カード)を金財が発行していましたが、2025年3月31日をもってライセンスカードの発行は終了しています。

FP技能士カードの発行終了
出所:金財「ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士カード」

まとめ

FP3級に追従する形でFP2級もCBT方式に移行したことで、受験ハードルが下がり恩恵を受けられる人も多いと思います。

一方で、ペーパー方式になじみのある方にとっては不便に感じる人もいると思います。

しかし、試験範囲や試験時間に変更はなく、従来も学習をしっかりしていれば試験時間にゆとりはあります。あくまで試験方式が変わったにすぎないため、引き続き資格取得に向けて勉強を進めていきましょう。

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3件のコメント

パソコンに慣れてない人には不利な試験になりますね!
計算機も持ち込み禁止ならば尚更、普段パソコンでの計算機で計算される方普段からいるのでしょうか?あまりにも実用化して無い試験に思いますが?時間も変わらないなんて?
なんだか、年寄りは試験資格さえも与えられないようなイメージが感じてしまいます。
今まで、頑張って勉強してきたのにこの試験の仕方に慣れなければいけないなんて今後パソコンを買ってからの勉強をやり直さなければ行けないとは大変困惑しています。

コメントありがとうございます!
おっしゃる通り、普段からパソコンに慣れていないかたにとっては困惑してしまう可能性がありますね。
しかし、CBT試験のためにパソコンを買う必要はないと考えております。
理由としては、CBT試験はパソコン操作に慣れていないかたでも簡単に問題に解けるよう、画面がシンプルになっているからです。

問題を解く流れとして、
・PCに表示された問題を見る
・正しいと思う選択肢をクリック
・「次の問題へ」といったボタンをクリック
これの繰り返しです。

仮に計算が必要な問題であっても、与えられた用紙に鉛筆などで書いて答えを導き、その答えを入力するだけで済むようになっています。
パソコンに内蔵された電卓であっても、操作は卓上の電卓と変わり在りません。
そのため、パソコンに不慣れなかたでもわかりやすい構成になっております。

また、電卓に関しては私の推測でのお話になりますが、普段からパソコンを使うかたもパソコンの計算機を使用する人はあまり多くないと考えております。
理由としては、FP関連書籍をはじめ全国の書店で販売されている現状から、学習方法は従来の通りテキスト・ノート・卓上電卓による場合が多いからです。

たしかに、試験時間が変わらない点も相まって不安に感じるかもしれませんが、普段から市販のテキストとノート、電卓で学習されているようであれば、CBT試験であっても十分に合格できると思います!
(FP2級と3級は学習をしている方であれば、試験時間に余裕があるイメージです。)

■まとめ
・CBT試験のためにパソコンを買う必要はありません。パソコンに慣れる時間よりも学習時間に充てることが大事。
・他の受検者も普段はパソコン内蔵電卓はあまり使っていないと予想(ちなみに私も学習の時は卓上電卓です)。

最後に、CBT試験会場は必ず試験官がいます。
もし不安に感じられるようであれば、会場に到着した際に気になることがあれば試験官に確認してみても良いと思います。
ぜひ頑張ってください!

ありがとうございます。
頑張って勉強を続けて行きたいと思います。